近年急激に増えてきた個別授業の塾は、今や集団授業の塾と肩を並べるほどとなっています。クラスごとに複数の生徒を分けて授業を行うものであり、生徒個人と向き合って講師が指導を行います。1人の生徒につき講師1人の場合もありますし、2~3人で講師1人が付くこともあります。 いずれにしろ、講師がそれぞれの生徒の状況を見ながら進められる最低限の人数で学習を進められる形となり、「集団にいると出遅れてしまう」といった子供でも安心して学習することができます。塾の形態として注目されていることは、近年の増加傾向にも表れているのです。
個別授業には、集団では実現することのできないメリットが存在しています。
個別授業では、それぞれの生徒の能力に合わせて進められるため、集団授業のたくさんの生徒をまとめて進めるカリキュラムと比べて、個人の進捗に寄り添った学習を行うことができます。得意科目も苦手科目も平均的なスピードで進んでいくのではなく、得意なものをより伸ばし、苦手なものはじっくりと克服していくといった形がとれるのも個別授業ならではです。
子供の性格によっては、集団で1人取り残されたり、学習のスピードが高い生徒と比較されたりすることでやる気を喪失してしまうこともあります。個別授業は競合する生徒が周囲にいないか、または同じ程度の学力の子供と少数のみで取り組むことが多いため、自分だけができないと学習を放り出すようなことも防げます。
例えば1日授業を休んでしまったら、集団授業の場合はそのまま学習が進められていきますが、こうした個人の都合にも合わせてペース配分ができるのが個別授業です。また、すでに一定の学力に達している科目はあえて外し、苦手な科目のみを集中して学習するといった形をとることもできるのです。
受験に当たって、志望校を高いレベルに設定している場合、その目標にまで届かないといった面もはらんでいるのが個別授業です。生徒のレベルに合わせて基本的にじっくり学習が進められていきますから、最低限の理解ができるようになることが当面の目標とされることがあり、そこからさらに難易度の高いレベルにまで引き上げるのが難しい形態とも言えるのです。 個別授業での学習においては、最終目標をどこに設定するのかをきちんと決めておくのが無難です。また、生徒のモチベーションによっては思っているようなスピードで学習が進んでいかないこともあります。学習の進め方は普段から意識しておき、家での自習にも力を入れて行うことも大切です。 また、競い合う生徒がほぼいないことで支えがなくなってしまうタイプの子供もいます。さらに、集団で勉強する環境に慣れていないと、本番の受験で実力を発揮できないといったケースもあるため注意しておきましょう。
個別授業の形態は、もともと学習することが苦手と思っている子供や、学校の授業についていくのが難しい子供に向いている形態と言えます。学習すること、また周囲の子供に対してコンプレックスを持っている子供なら、個別授業でじっくりと苦手やコンプレックスを克服していくことができるでしょう。